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クルマのインターネット常時接続とITSはなんのために必要なのか?—-自動運転実現のために 

2017年12月17日

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自動運転のための技術にはインターネット常時接続の技術が欠かせない

2020年に向けて、世界の主要な自動車メーカーは自動運転化の技術を競っている。もちろん自動車メーカーは正確に言えば、完全な無人の自動運転を目指すGoogle派ではなく、ADAS(高度運転支援システム:レベル3)を目指しており、高速道路などでドライバーの監視なしで走行できることが目標とされている。*2016年10月の有料記事を無料公開

高度運転支援システムの目的は、ドライバーが楽をするということや、クルマを自動で走らせるということではなく、交通事故をなくするためだ。日本の警察庁の統計だけではなく、各国の交通事故データでは、高速道路でのドライバーのミスは、脇見運転、居眠り運転、不注意、不適切操作が、つまりドライバーのヒューマン・エラーが圧倒的に多いのだ。

事故類別

交通事故全体の類別データ

高速100km当り事故類別推移

高速道路100km当りの交通事故類別データ

このため、高速道路での高度運転支援システムが実現すれば、高速道路上での重大事故は大幅に低減できることが分かる。現在採用されている運転支援システム、レベル2(車載センサーを使用し、クルマの加減速やステアリング操作など複数の自動制御を作動できる状態)では、光学カメラ、レーダー、超音波センサーを使用し道路・交通環境を検知し、自動操作を行なうようになっている。

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従来の運転支援システムはカメラ、ミリ波レーダーなどがメインセンサーで有効距離は最長で数100mの範囲内

そして2016年現在、各自動車メーカーや大手の自動車部品&システムサプライヤーの自動運転実証実験車(レベル3)がナンバーを取得し、公道で走行実験を繰り返している。興味深いのは、自動車部品およびシステムのメガサプライヤーの実験車は、いち早く実用化と普及を加速させるために、単眼カメラまたはステレオカメラ、レーダー、超音波センサーなど既存のセンサーを組合わせることで、より低コストで実現を目指していることだ。

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Google Carや自動運転実験車に不可欠のレーザースキャナー(ライダー)。ルーフ上で常時回転し、360度の物体をレーザービームで検知するセンサーだが高価

しかし、自動車メーカーの実験車は、これらのセンサー以外にレーザースキャナー(LiDAR)を搭載し、より物体や道路の認知性能を高めている。つまりより精度の高い自動運転システムを構築しようとしているのだ。

■インターネットへの常時接続という意味

しかしその一方で、クルマに搭載するセンサーは、どれほど高価で、高性能なセンサーだとしても、せいぜい数100mの範囲の物体や地形を検知できるに過ぎないのだ。この点に関しては、メガサプライヤーはすでに次のステップへの知見を持っている。

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コンチネンタル社が提案する「eHorizon」。ネット接続によりサーバーから交通情報、天候情報などを取得する

つまり、高精度でコストの高いセンサーを搭載するよりは、クルマのインターネット通信接続により、ビッグデータを持つサーバーと接続し、道路・交通情報を取得するほうが現実的で、効果的と考えている。

Aが従来型の車載ルーター。「B」が新世代車載ルーター。その下は通信モジュール

Aが現状の車載通信器。「B」が新世代車載通信器。その下は通信モジュール

ビッグデータを持つサーバーは、天候、交通情報、道路情報などリアルタイムの情報をクルマに送信することができ、クルマ側では検知できない数km前方の状況を受信することができるのだ。

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車載ネット通信モジュールはアンテナと接続され、常時通信を行なう

だから車載センサーで検知するより早くクルマ側の準備を行なうことができる。それはアクセルや、ギヤ段数、ブレーキ制御などを行なうことができるという意味だ。

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各車が常時接続することで、事故の防止、渋滞防止が実現する

そしてナビゲーション・システムとも連携し、地図情報も最新データを取得することができ、ナビの機能も飛躍的に向上させることができる。これがクルマのコネクティビティ(インターネット常時接続)であり、クルマにはSIMカードを含む通信モジュールを搭載すれば実現する。

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ヨーロッパ、ロシアで導入される事故通報用の「eCall」

この発想は、ヨーロッパでは「e Call(イーコール)」と呼ばれる、緊急事態用の自動車載通信装置の搭載の義務付けが2018年から開始されることとも無縁ではない。e Callとは、重大な自動車事故が発生した際にEUの緊急通報用電話番号「112」へと自動接続されるシステムである。

「112」への発信は車載システムにより自動で行なわれ、公衆無線網を通じて自動車と緊急通報受付センターに音声通話が確立される。また、自動車の車種、燃料種別、位置情報などのデータも自動で発信されるため、音声通話が不可能な場合にも、救急サービスが迅速に現場に駆けつけることが可能になるのだ。

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各国のLTE回線の自動車利用の普及予測

e Callの場合、通常の走行中、SIMカードは休止状態だが、これを常時接続にすれば高次元の運転支援が可能になるわけだ。ただ、低価格車も含めて搭載されるため、2G回線が使用されるが、高度運転支援システム向けには3Gはもちろん、50Mbps ~1Gbpsの高速通信が可能な4G(LTE)がメインストリームと位置付けられている。

■進まぬITSとの連携で自動運転システムを稼働できるのか?

もうひとつ、高度運転支援システムと密接にかかわっているのが、V2X(クルマ同士、またはクルマと道路側の施設の間)通信だ。これは以前から政府、公的機関で推進されているITS(高度交通システム)の1カテゴリーで、DSSS(Driving Safety Support Systems)などが代表的だ。

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DSSSはクルマ同士の通信、あるいは交差点など道路側のインフラとクルマが情報通信を行なうことで、例えば前走車が緊急ブレーキを踏めば、後続車も自動的に緊急ブレーキがかかる、あるいは交差点で歩行者や他のクルマの動きをクルマ側が受信し、前もって危険回避ができるといったシステムだ。

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日本における路車間通信システム「DSSS」

日本ではいち早く2015年からトヨタのクラウン、プリウスなどにこのITSコネクト(DSSS+CVSS)がオプション設定されているが、道路側のインフラは現時点では豊田市、オリンピック開催に合わせた東京のお台場周辺に限定され、車車間通信システムのCVSSは搭載車同士でしか有効でないなどの問題はある。が、とりあえず実用化されている。

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インターネット常時接続、ADASの実現に向けてハードウェアはスタンバイしている(ALPS)

ただ、ITSというカテゴリーは公的機関がリードする形で、道路インフラの整備を前提としていることが多く、そのために莫大なコストを要するのが問題で、当然ながら各国での取り組みにも差がある。

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ヨーロッパ、アメリカ用の車車間通信用モジュール

日本はITSスポットの設置などでは世界をリードしており、この分野の先進国となっているが、肝心のITSスポットの機能が運転支援システムのためには有効に生かされていない問題がある。

そしてITSは道路インフラに関わる性質上、自動車メーカー、メガサプライヤーにとって、積極的に取り組むというのが難しいという難点がある。

しかし、アメリカでは2018年以降に車車間通信システム搭載が義務付けられる動きがあり、当然ながらメガサプライヤーもその準備を進めており、運転支援システムとしての通信のバックグラウンドが整いつつあり、通信システムの開発も加速している。

■ADASとの連携できるシステムは何か?

インターネット常時接続が効果を発揮するためには、ビッグデータを持つ巨大サーバーをいかに構築し、運用するかも大きなテーマとなる。最終的には官民一体のサーバーが実現すると予想されるが、メガサプライヤーはIBMやマイクロソフト、シスコシステムなどと連携し、いち早く独自のサーバー構築の動きを見せている。

車車間通信

車車間通信のイメージ

こうした現状のため、高度運転支援システムの精度向上のためのインターネット常時接続や、危険警報・回避のための車車間通信はクローズアップされているのだ。

日本では、ナビゲーション機器とサーバー間でインターネット接続する機能も実用化されてはいるが、トヨタのITSコネクト以外では、まだ高度運転支援システムの一環的な位置付けという点も明確ではない。

これからのクルマは、スマートフォンと連携させるか、クルマにSIMカードを搭載するのか、どのように高度運転支援システムと連携できるシステムとするのか、という重要な舵取りが求められている。

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