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今マツダに何が起きているのか? 壁を乗り越える挑戦が始まった

2017年11月1日

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マツダ次世代技術徹底考察2017 vol.2/5

vol.1では、マツダの次世代技術の背景となるコーポレートビジョンを説明した。こうした背景とロードマップに従って、開発されたのが新しい内燃機関(Internal Combustion Engine)スカイアクティブXだ。今回はこのエンジンの開発背景について詳しく見てみよう。

マツダ スカイアクティブX テストカー試乗 旧MINEサーキット 美祢テストコース

美祢にあるマツダのテストコースで試作車に試乗

■HCCIとMBDモデルベース開発

スカイアクティブXの開発の背景には、コーポレートビジョンがあり、地球環境の課題がある。その課題の中でCO2削減をするにあたり、マツダは直接的に地球の課題に向き合えるものとしてICEの改善に取り組んでいるというのがvol.1から理解できる。

マツダ スカイアクティブX 燃焼技術の進化 ロードマップ

こうした取り組みは、自動車メーカーすべてが取り組んでいると言っても過言ではなく、とくに究極の内燃機関と言われるHCCI(予混合圧縮着火)エンジンは、古くから各社が研究してきている。特に1980年代にメルセデス・ベンツはこのHCCIに取り組んでいたことは有名だ。

だがしかし、市販を前提にするとこうした技術には高い壁があり、各社は断念し実用化までたどり着いたメーカーは未だない。ただし、近年コンピュータによるシミュレーション技術の進化により、さまざまな情報、状況を解析できるようになり、特にMBD(モデルべース開発)という開発ツールの出現により、かつては不可能だった、見えない未知の世界もデータ化が可能になり、検証できるようになってきた。
*参考リンク:自動車開発でもはや常識となっているモデルベース(MBD)開発とは何か?

マツダ スカイアクティブX モデルベース開発におけるVサイクル

資料提供d-space

■SPCCIのブレークスルー

マツダは2000年前後から、このMBDを利用しはじめ、現在のスカアクティブシリーズやエンジンをアクチュエーターとしてシャシー制御するGVC(G-ベクタリングコントロール)など画期的な、そして自動車開発の基礎技術にも成り得る新しい世界を商品に投入し始めている。

こうした背景の中、MBDを駆使し、HCCIの考え方を持つSPCCIという全く新しい考え方の燃焼方式を持つガソリンエンジンが誕生しつつあるのだ。それが「スカイアクティブ-X」というわけだ。これまで同じような考え方で開発されていたのが、かつて三菱自動車が発売したGDI(直噴リーンバーン・エンジン)がそれに近い。

マツダ スカイアクティブX SPCCI 高圧燃料噴射 燃料パイプのレイアウト

スカイアクティブXではコモンレールを採用し、高圧燃料噴射を行なっている

しかし、当時はシミュレーション技術もなく、直噴の燃料噴射圧力も50bar程度で、ガソリンの霧化が不十分だった。結果的にはPM(SOOT)がシリンダー内に蓄積する問題なども発生し、その後マーケットからは消滅している。もちろんNOxの問題もある。ストイキで高圧縮となれば、燃焼温度が高くなりNOxが発生する。そのため低温度のリーンバーン化していくことも必要になってくるわけだ。

では、HCCIの何が良くて、開発に取り組むのだろうか。それはディーゼルエンジンのような均質リーンバーンが可能で、熱効率の良さが魅力だからだ。ガソリンを使ってエネルギーに変換して走るのがエンジンだが、その際30%~40%程度しかエネルギーに変換されていないのが今のICEだ。あとは廃棄されている。その無駄を少しでも減らし、効率よくエネルギーに変換できれば環境にもいいということにつながる。

マツダ スカイアクティブX 欧州における内燃機関車やEVの実用燃費グラフ

マツダは実用燃費の重要性を以前から重要視している

こうした事情の中でとくにマツダが注目したのは、実走行時の排出ガスや燃費に目を向け、効率のよいガソリンエンジンの重要性を認識したわけだ。高効率化されたガソリンエンジンは、電気自動車よりも環境に貢献できるというデータもあり、火力発電に頼らないレベルの発電ができるまで、EVは不要と言えるガソリンエンジンを目指すことになった。

Well to Wheel(原油の井戸掘削からエネルギーに変換、排出されるまでの意)の視点で電力を作るために発生するCO2と内燃機関が排出するCO2の差を縮めることができればEVは不要になる、ということで、再生可能なクリーンエネルギーで電力が作られた時点でEVが必要になるということだ。また一方で、同時に再生可能液体燃料の共同研究も進めているという。

■石炭発電よりCO2排出が少ない

となれば、どこまで効率がよくなればEVは不要と言えるまでの性能になるのだろうか。そして、具体的にICEの実用燃費ターゲット値はどうやって決めたのか。

マツダ スカイアクティブX 実用燃費改善のターゲットとしての石炭発電

マツダの試算では、EVのCO2排出量にガソリンが追いつける可能性を見出している

平均的な発電方法で発電した場合100km走るのに、EVは21.2kWhの出力が必要で、その電力を作るのに128gのCO2が排出されているというデータを持ち出した。現状のスカイアクティブ-Gで100km走ると5.2Lのガソリンが必要で、その時のCO2排出量は142gである。つまり、差は14g。あと10%燃費改善されれば、Well to Wheelの視点で考えるとEVと同等のCO2排出量になるという計算をマツダは試算している。

また21.2kWhの発電を石炭で発電した場合は200g、石油で156g、LNGで100gのCO2を排出しているのが現状だとも説明している。つまり、石炭や石油からの火力発電より、すでにスカイアクティブ-GはCO2の排出量は少ないと説明している。

マツダ スカイアクティブX テストカー 走行イメージ

外観は現行アクセラだが、エンジン、プラットフォームは次世代のもの

ここで説明に用いたデータはマツダの試算になるが、vol1でも書いたように、EV推進派とは食い違う点もある。だが、どちらが正しいとか、間違っているということではなく、得意分野での競争により地球環境が改善されていくことが望ましく、そうなることがマツダのコーポレートビジョンを達成する近道でもあるわけだ。

さて、こうした計算に基づき、マツダはガソリンもディーゼルも継続して改良を続けていく必要があるとし、そうした中で、熱効率が45%~50%の、燃費の良いガソリンエンジンがスカイアクティブXということになる。つまり、マツダの近い将来のクルマには、すべてスカイアクティブXが搭載されるということではなく、数あるソリューションのひとつに加わったというポジションであることが分かる。

マツダ スカイアクティブX 技術説明を受ける高橋明

そして、地球環境の課題を技術で解決するために、このスカイアクティブXが誕生してきたわだが、まだ完成の域に到達していないという。それは、SPCCIの燃焼方式はほぼ完成していると思うが、スカイアクティブXは商品名であるため、この先市販するにあたって、CO2やNOxなど排ガス試験をクリアすることも必要だ。そしてなんといってもマイルドハイブリッドとして市場に出すため、このモーター制御がまだ未完なのだ。

次回は、マイルドハイブリッドでもあるスカイアクティブXの詳細に迫ってみたい。

シリーズ:マツダ次世代技術徹底考察2017

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