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誕生から30周年を迎えたドライブゲームのパイオニア『アウトラン』 不朽の名作にして、いまだに進化を続ける魅力の秘密とは?

2016年12月31日

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『アウトラン』(Out Run)の名前を聞いて、昔ゲーセンにあった体感ゲームを思い出す人は、おそらく40代以上の世代でしょう。1986年にセガがアーケードゲームとして登場させた『アウトラン』は、ステアリング操作に合わせて大型の筐体が左右に動いたり、クラッシュ時に振動したりする画期的なアクションで瞬く間に大人気に。かくいう筆者も当時『アウトラン』中毒になっていて、学校帰りに毎日のようにゲーセン通いをして走りまくっていました。<レポート:北沢剛司/Koji Kitazawa>

■フェラーリ・テスタロッサの美しさに惹かれる

私が『アウトラン』に引き込まれた第一の理由は、プレイヤーが操作するクルマがフェラーリ・テスタロッサだったことです。1984年にデビューしたテスタロッサは、サイドラジエターの採用から生まれたボディ側面のエアインテークのデザイン処理が革新的で、当時のクルマ好きの誰もが衝撃を覚えた憧れの一台でした。そんなテスタロッサが、なんとルーフを取り去ったスパイダーボディとして登場し、ゲームで思う存分走行できる喜びは、当時の学生としてはこれ以上ない喜びでした。

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彼女と一緒にオープンボディのフェラーリ・テスタロッサでドライブするという、夢のようなシチュエーションでした

もちろん、フェラーリ・テスタロッサのスパイダーボディはカタログモデルにはなく、当時のフィアット会長ジャンニ・アニエッリのためにピニンファリーナが製作した車両と、ベルリネッタのルーフを切除してワンオフ製作されたサードパーティ製のものしかありませんでした。そのため、筆者は当時タミヤのプラモデルとして発売された1/24 スポーツカーシリーズのフェラーリ・テスタロッサを購入し、ルーフを切り取って『アウトラン』仕様のテスタロッサを改造製作していました。それほどまでに『アウトラン』に登場するテスタロッサ・スパイダーの美しさは衝撃的だったのです。

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大クラッシュしないと見られないテスタロッサ・スパイダーの全体像

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写真のミニカーは、ドイツのヘルパ社が’90年代に発売した1/43スケールのFerrari Testarossa Cabrioです。エンジンフードの形状は『アウトラン』仕様そのもので、美しいスタイリングを的確に表現していました。さらにこのミニカーはプラスチック製で、左右のドアとフロントフード、エンジンフードが開閉するなど、非常に優れた製品内容でした。可動部分が多いにも関わらずチリの合いかたが驚異的で、Made in Germanyならではの緻密さを感じたものです。

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でも、テスタロッサ・スパイダーはこの角度から見るのが最高ですね

■ゲーム史に残る不朽の名作

話が逸れましたが、『アウトラン』が画期的だったのは、クルマのゲームでありながら、サーキットを周回したりライバルと順位を競うようなレースゲームではなかったことです。『アウトラン』はあくまでも一般道を走るドライブゲームとしてつくられていて、美しく描かれたステージをいかに気持ちよく走れるかが魅力となっていました。

outrun_05操作はギヤのハイ/ロー切り替えがあるだけで、ハンドリングは安定感の高いアンダーステア。後のゲームのようにドリフトすることもなく、アクセルとブレーキだけでコーナリングスピードを調整するシンプルな操作性でした。マニアだけでなく幅広い層が楽しめる内容であったため、大ヒットにつながったのです。outrun_06b

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全5ステージ、15コースがあり、海岸線やアルプス、砂漠、岩山など、バリエーションに富んだステージが用意されていました

全5ステージ、15コースがあり、海岸線やアルプス、砂漠、岩山など、バリエーションに富んだステージが用意されていました

ひとつのステージを終えると分岐点が現れ、左に行くか右に行くかはプレーヤーが自由に決められます。当時この自由度の高さは画期的で、大いに感動しました。残り時間が0になる前にチェックポイントを通過すればタイムが加算され、その前に残り時間がなくなるとゲームオーバーとなります。

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コースには日本版と海外版があり、両者はコースの順番が一部異なるだけで、基本的なコースデザインは共通でした。コースによる難易度の差はそれほど大きくないため、プレーヤーは好みのコースを選んで走行することができました。

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『アウトラン』のPCエンジン製品はコースが海外版で、メガドライブ製品は日本版コース。その後に発売されたセガサターン製品では両者を選ぶことができました

■バンド活動も行なわれたほどの高い完成度を持つBGM

『アウトラン』では最初にスタートボタンを押すとBGM選択画面になり、カーステレオを操作して好みのBGMを選ぶようになっていました。そのBGMは、『MAGICAL SOUND SHOWER』、『SPLASH WAVE』、『PASSING BREEZE』の3曲。ゲームミュージックとしては当時まれに見る完成度の高さで、30年後に改めて聞いてみてもまったく色褪せないものでした。

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BGMの3曲はどれも個性的で、プレーヤーによって好みが分かれました

ゲームミュージックなんて聞くと大したことないと思われがちですが、この『アウトラン』がなければ、現在の『グランツーリスモ』のような完成度の高い楽曲は生まれなかったかもしれません。後にセガのサウンド開発者自ら『S.S.T. BAND』の名でバンドを結成。ゲームミュージックをアレンジして演奏するライブ活動を行なっていたほどで、その完成度の高さが伺えます。

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1992年にポニーキャニオンから発売されたCDアルバムの『Out Run』。S.S.T. BANDのアレンジバージョンと、オリジナルのBGMを収録しています

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CD内のカードには、アーケード版のデラックス筐体の写真も

ドライブゲームのBGMとして作曲されたため、実車のドライブ時に聞く曲としても活用できます。ただ、気分がアガリすぎて飛ばしすぎないよう注意しなければなりません。

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良いスコアを記録したときには、3文字でネームエントリーができます。このときに流れるBGMの『LAST WAVE』も印象的な楽曲でした

■さまざまなプラットフォームでプレイ可能

アーケードゲームで大ヒットした『アウトラン』は、1987年にセガ・マークIII用ソフトとしてテレビゲームに移植されました。しかし、当時はファミコンの全盛期であり、まわりにセガ・ユーザーは誰もいない状態。筆者は当時ゲーセン以外でプレイすることはできませんでした。

1990年になると、NECの当時の子会社が発売したゲーム機の『PCエンジン』用ゲームソフトとして移植されました。

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『PCエンジン』は高性能をウリにしていたため、セガ・マークIII版に比べてグラフィックの質感は大幅に向上。筆者も『アウトラン』をプレイするためだけに『PCエンジン』を購入したほどでした。

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PCエンジン版は、当時移植されたアーケードゲームのなかでは圧倒的な再現度を誇っていました

その後、本家のセガから『メガドライブ』が発売され、1991年には『アウトラン』が移植されます。

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メガドライブ版の『アウトラン』

PCエンジン版ではコースの分岐時にコースが点滅して見えるなどの難点があったのに対し、『メガドライブ』版ではそれらの問題が解消されてアーケード版に近づきました。しかし、ハードウェアの性能面によりエンジン音がカットされるなど、完全なものではありませんでした。

■究極の完成度を誇るセガサターン版ソフト

1996年にセガサターン版として発売された『アウトラン』は、それらの不満をすべて解消した決定版で、コースは国内版と海外版を選択できるほか、ATモードも選択可能になりました。

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また、それまでの移植作品が方向ボタンの上下にギヤチェンジ操作が割り当てられていたのに対し、セガサターンではギヤチェンジ操作をコントローラー上部の独立したL/Rボタンで行なっています。これにより、コーナリング中にギヤが不意にローに入ってしまってイラッとくることがなくなりました。

さらにリニアなステアリング操作を可能にした別売のレーシングコントローラーや、アナログキーと左右のトリガーでステアリング/アクセル/ブレーキをアナログ操作できる別売のセガマルチコントローラーにも対応。アーケード版のような繊細なコントロールが可能になったことで、これまでにない充実した環境でプレイできるようになりました。

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クラッシュ時に乗員が投げ出されるシーンは、いまのゲームでは不可能と思える過激な表現

セガサターン版では、隠しモードのスムースモードが使えることも魅力でした。これはゲームをクリアすると、画面にスムースモードの入力方法が表示されるもの。そのコマンドを入力すると描画性能が30フレームから60フレームとなり、高品質な描写が可能になるのです。アーケード版の登場から10年後に発売されたこのセガサターン版ソフトは、オリジナルを超える完成度を持つゲームとなったのです。

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隠しモードの方法は、ゲームクリア後のエンドクレジットに表示されました

■禁断の裏技『ギアガチャ』も可能に

『アウトラン』といえば、走行中にギヤの上下操作を行なうことにより、コースアウトしても減速しなくなる裏技の『ギアガチャ』が有名です。この裏技を利用すると急カーブの進入時に思いっきりインカットして走行できるため、スコアが飛躍的に向上するメリットがありました。そのため、アーケード版ではゲーム中ひたすら『ギアガチャ』を繰り返すプレーヤーが続出し、筐体にダメージを与えるとして『ギアガチャ』禁止とする店舗も現れるほどでした。

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『ギアガチャ』を使うと、コースアウトしても最高速の維持が可能でした

セガサターン版では、ボタンを押すとロー、放すとハイになるキー設定が選べました。往年の裏技を手軽に楽しめるようになったことも、セガサターン版の魅力として挙げられます。

■パッケージは、あの有名アーティストの作品だった!

『アウトラン』は、パッケージについてもウンチクがあります。テスタロッサをデフォルメした明るいタッチのイラストは、なんと精密なクルマのイラストレーションで有名な渡邊アキラさんの作品なのです。

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渡邊アキラさんは、自動車専門誌『CAR and DRIVER』の表紙やタミヤ製プラモデルのパッケージを多数手掛けていて、実車のような精密なタッチは世界的に知られています。『アウトラン』は、1980年代にセガのパッケージを手掛けていた頃の作品で、いつもの精密なタッチとは対照的な楽しい雰囲気が印象的です。『アウトラン』には、そんな有名アーティストも関わっているなど、まさに奇跡的ともいえる作品なのです。

■ニンテンドー3DSでプレイできる『アウトラン』

VR技術が登場するような最新ゲーム事情において、30年前のレースゲームなんてとてもプレイできないと思うのが普通です。しかし、『アウトラン』については、特に古臭い印象はなく、毎回気持ちよくプレイできる不思議な魅力があります。その理由は、好きなBGMを聞きながら自分好みのコースを自由に選んで走るという、爽快感を目指したゲーム内容にあります。BGMを口笛で吹きながらプレイできるドライブゲームなんて、『アウトラン』以外にはありません。

そして2014年からは、ニンテンドー3DSでプレイできる『3D アウトラン』として新登場。BGMに2つの新曲を追加したり、チューンナップの要素を加える一方、アーケード版忠実移植モードを搭載するなどして、『アウトラン』の普遍的な価値を現代に伝えています。

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ゲーム単体では現在762円(税別)でダウンロード購入が可能

ひとつだけ難点を挙げるとすれば、自車がテスタロッサ・スパイダーではない架空の車種になってしまうことでしょうか。これは『アウトラン』の製作当時にフェラーリの版権を取得していなかったため、現在同じデザインを再現できないためです。セガは続編の『アウトラン2』ではフェラーリの許諾を得てディーノやF50などを登場させましたが、『3D アウトラン』では諸般の事情により、テスタロッサ・スパイダーの再現は見送られました。とはいえ、丸形4灯のテールライトはなんとなくF512Mのように見えなくもないので、現行のプラットフォームで『アウトラン』がプレイできることを喜んだほうが良いでしょう。

それでもテスタロッサのカタチにこだわる人には、帰省時などで実家に眠っているセガサターンを発掘する手もありますし、ネットオークションなどで中古機を安く購入することもできます。

30年の時を経て進化を続ける『アウトラン』は、世代を超えて愛されるドライブゲームの傑作といえるでしょう。

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