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【繁浩太郎の言いたい放題】 タイヤを考えてみる

2016年12月3日

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今回は、自動車の性能に大きく関わるタイヤについて考えてみたいと思い、東京の小平市にあるブリジストン・タイヤの開発部門にお邪魔した。言うまでもないがブリヂストンは日本だけではなく海外生産も多いグローバル企業で、売上、シェアともにタイヤメーカー世界1位を誇る。

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取材対応いただいたブリヂストンの開発スタッフ。右からウインタータイヤ部の田辺信貴氏、中央)タイヤ開発第2本部長小林寿延氏、左)PSタイヤ開発の鈴木博行氏。

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タイヤの基本性能

タイヤの性能として、大きくは「直進安定性」、「ドライ」、「ウエット」、「燃費」、「耐久」、「騒音」「乗り心地」の7つがあり、これらは二律相反で一方を立てればもう一方は立たない関係にある。さらに環境やデザインまで関わり、その技術開発はナノレベルにまで及ぶ。つまり、タイヤの技術開発は意外と奥深く大変なのだ。

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タイヤの開発技術はなのレベルの分析が求められる

■タイヤには2種類ある

タイヤにはOEM(original equipment manufacturer)タイヤと、一般市販向けの補修用のリプレースタイヤがある。OEMタイヤは、各自動車メーカーのそれぞれの車種毎に、いわばオーダーメイドで開発されている。(中には、手をぬいている企業もある?)

一般的にはこの初期装着のタイヤがそのクルマにとって「7つの性能」のバランスが一番とれたタイヤとなる。もちろん燃費などの認定数値はこのタイヤでの測定結果となる。

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アッパークラス以上のクルマに新車装着されるOEM専用ハイパフォーマンスタイヤ「RE050」

リプレースタイヤは新車装着のタイヤが磨耗したときの交換や、ユーザーの好みで交換する場合や、冬用タイヤなど様々ある。さらに、新車装着タイヤと同じサイズでも、価格はピンからキリまである。

新車装着のタイヤからの交換時は、価格やデザイン性も大切だが、そのクルマの本来の性能を考え、まずオリジナルのタイヤと同等品を検討したい。「タイヤ館」などのタイヤショップでは、殆ど全てのクルマのオリジナル相当のタイヤを準備しているそうだ。

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リプレイス用のタイヤは価格、性能、特徴など多くの選択肢が(写真:ブリヂストンPLAYZ PXC)

購入するときは、燃費性能やグリップ性能など、好みでタイヤ選択する時でも、相反する7つの性能バランスを考えるべきだ。

■冬用のタイヤ

夏タイヤ以外に冬用のタイヤに交換する場合も考えてみよう。冬タイヤの種類は、スタッドレスタイヤ、スノー&ウインタータイヤ、オールシーズンタイヤ、古くはスパイクタイヤなど様々あるが、もちろん現在の日本の主流はスタッドレスタイヤだ。

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ブリヂストンのスタッドレスタイヤ「ブリザック VRX」

冬の道は滑りやすいが、その中で特に怖いのは、氷の上にできる「水の膜」だ。この水の膜によりタイヤは滑る。日本は、昼間に圧雪の表面が解けて夜に凍るというパターンが多く、その氷上でクルマの車重が氷に圧力をかけることによって水膜ができるのだ。

0度C~-10度Cで水は溶け出しやすく最も滑りやすい状態になる。つまり、雪上というより氷上性能が大切で、この氷上でグリップ力を得るのが技術的に難しい。それに対応しているのがスタッドレスタイヤだ。

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スタッドレスタイヤの基本的な技術

ブリヂストンのスタッドレスタイヤは「アクティブ発泡ゴム」という独自技術を開発し採用している。まず発泡ゴムの説明だが、これは内部に空隙を持たせたゴムで、氷上とタイヤとの密着度を上げ、低温で柔らかいトレッド面と発泡ゴムの穴で水膜を吸水することを可能にしたものだ。

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さらに、氷上とタイヤとの密着度を上げるためには、タイヤの親水性が大切になるが、タイヤのゴムはもともと油も含んでいるので水と油の関係になり両立が難しい。そこで発泡ゴムの発泡層に特殊な表面処理を行なって親水性を上げている。これが「アクティブ発泡ゴム」と呼ぶブリヂストンのスタッドレスタイヤのキラー技術だ。

かつてはスノータイヤというのもあった。これは着雪した雪道では良いが、氷上性能はスタッドレスタイヤにまったく及ばない。ヨーロッパでは除雪された路面を高速走行することを前提に耐久性や運動性を重視したウインタータイヤが一般的で、スタッドレスやスノータイヤともまた違った性能を持つタイヤだ。

一方、北米ではオールシーズンタイヤが一般的だ。一年を通しての使用を考えているので、夏冬の性能もソコソコとなるが、履き替える面倒さはない。また、広大なアメリカでは地域により
さまざまな路面、天候となるので、それらに対応できるのが特徴だ。

日本でもオールシーズンタイヤは手に入り、チェーン規制時もクリアできるものがあり、都市部などで「ソコソコ」を理解したユーザーにとっては便利だ。

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かつて使用されていたスパイクタイヤ

スパイクタイヤは、タイヤから金属のピンが出ているもので、路面を引っ掻いて粉塵の元になるので、今では先進国では使われないし、日本でも入手不可能だが、ロシアでは使われている。

■ランフラットタイヤ

簡単にいうと、パンクしてもタイヤ変形が少なく、ホイールから脱落しない構造のため、ある程度の速度でしばらく走れるタイヤだ。

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パンクしても走行できるランフラットタイヤ(ポテンザ S001 RFT)

その構造はいろいろとあるが、ブリヂストンの場合はエアが抜けてもある程度変形を防止するために、サイドの内側に補強ゴムを使用する構造だ。

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一般のタイヤでは、パンクすると操縦性能が極端に悪化したり、停車すると追突されるリスクもある。また日本は良いが治安の悪い諸外国では、自動車を停止させること自体がリスクということもある。ランフラットタイヤなら、安全安心ということだ。

残念なのは、ランフラットタイヤは価格が高いことと、少し乗り心地が硬く感じることだが、最近は相当に改善されてきている。

■タイヤの取扱い

まず、新品タイヤはその後の偏摩耗などを防ぐ目的で、「慣らし」が必要だ。いわゆる一皮向けたくらいから本来の性能が発揮される。それは、一般のタイヤで80km/h以下で100km程度、スタッドレスタイヤで60km/h以下で200km程度だ。

タイヤの耐久性は、年数でいうとだいたい「5年で要チェック、10年で要交換」ということになるが、タイヤの山が十分残っていても、年数で考えた方がいい。しかし実際には、走行距離に比例して磨耗するので、走行距離が多いユーザーは、毎月の溝のチェックは必要だ。

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またタイヤの長期保管は、トレッド面の変形を避けるために横置きにして、空気圧は半分程度にし、紫外線を避けるためにカバー等で保護したい。ただし、カバーをすると湿度が上がるため、本来であれば冷暗低湿度な場所の保管が望ましい。最近では比較的安価で、タイヤショップでの保管も可能なので利用すると便利だ。

■ 大切なのは空気圧

タイヤのあらゆる走行性能は「適正空気圧」で設計されており、それを維持することでタイヤ、クルマ本来の性能が発揮できる。タイヤの適正空気圧より高めで走ると、接地面が小さい状態なので、燃費は良くなる方向だがフラつき気味で、トレッドの中心あたりが摩耗していく。

空気圧が低めや大人数乗る場合や、重い荷物を載せたときはその逆で、中心より周囲の摩耗が大きくなる。よって、その後に適正空気圧に戻したとしても、今度は適正な接地面が得られなくなり、タイヤの性能をバランス良く発揮できなくなる。タイヤの空気圧管理は大切だ。

■今後のタイヤ技術

ブリヂストンでは、タイヤの内側にいくつかの歪センサーを取り付けて、タイヤの回転時の変形を測定し、ウエットやドライ等の路面状況がわかる世界初のタイヤセンシング技術「CAIS」も開発されている。

CAISの概要

センサーを搭載したCIAS技術

つまり、この技術を使うことで滑りやすい路面かなど、どういう路面状態かをドライバーにインフォメーションできるというのだ。また、それをドライバーに直接インフォメーションするのでなく、シャシー制御回路に入れれば、ドライバーに代わって様々な制御もできるのではと私は想像する。こうなると安全安心の先の自動運転のための技術ともいえる。

このように、タイヤはナノレベルの開発から、ITレベルまでの幅広い技術で開発されており、タイヤメーカーで作り上げてきた相反する「7つの性能」と「スタッドレスタイヤ」などの技術進化は、隔世の感を禁じ得ない。それだけタイヤメーカーの技術開発の努力があったということだ。

しかし、完全自動運転の時代がくるまでは、ユーザーはタイヤの大切さを良く理解して、安全安心快適にドライブしたいものだ。

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第1弾:ヨコハマタイヤ「ice GUARD SUV G075」試乗レポート 技術進化を如実に感じる新スタッドレスタイヤ
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