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【繁浩太郎の言いたい放題コラム】第19回 マツダのデザインは何故カッコいいか?

2016年6月8日

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マツダ デミオのデザイン・レンダリング

私は周囲から、「マツダのデザインはカッコいい」と良く聞きます。また、「何故マツダだけカッコいいのか?」という質問も多く受けます。さらにはマツダ以外でも「イメージスケッチの様なのがそのまま出れば、かっこいいのに」とも。

■クルマのデザインは制約の中で行なわれる

これはその通りですが、そのままは出ませんね。それは、イメージスケッチはあくまでデザイナーのイメージで描いたものなので、そのままということにはならないのです。つまり実際にクルマにしていく上で、生産性とかユーザーの使い勝手など様々な「制約」がでてきてくるからです。ここで、大切なのはマツダ車など、量産車のカッコ良さは「制約」の中で表現しなくてはならないということです。

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ホンダ フィットのデザイン・レンダリング

それが「プロダクト・デザイン」です。クルマを使う、乗ることを、そして売れることを目指してデザインされなくてはならないのです。

La Ferrari(ラ フェラーリ)

La Ferrari(ラ フェラーリ)

クルマの究極のカッコ良さということでは、なんと言っても「フェラーリ」です。La Ferrariは全長4700mm、全幅1992mm、全高1116mmです。この骨格数字を見ただけで、そのカッコ良さがわかります。人間で言うと、頭が小さく、ひき締った体に長い足って感じです。つまりスポーツカーにはデザイン制約が少ないのです。だから、まず「骨格」だけでカッコいいのです。

■制約の事例 その1

一般の量産車には制約がかなりあります。まず、全高です。全高の決まり方は、FFをベースにして考えますと、最低地上高(エンジンから下)+エンジン本体の高さ+ボンネットクリアランスという要件でボンネットの高さが決まります。そのボンネット高で前方視界が成立する高さのところに、乗員のアイポイントが決定されます。そこから、頭とルーフのクリアランスを確保してルーフ高が決まります。クルマによっては乗降性などの要件も加えていくと、さらにクリアランスを取る必要があります。

ホンダ CR-Z

ホンダ CR-Z

ホンダ フィット

ホンダ フィット


そうすると、だいたいスポーツカーのホンダCR-Zで1395mm、ハッチバックのアクアで1455mm、デミオで1475mm。このあたりがミニマムの高さです。全長は、アクア、フィットクラスで、4m程度。3列のウイッシュで4.6mです。これらの全幅は、1700mm以下でデザインされています。

トヨタ アクア

トヨタ アクア

マツダ デミオ

マツダ デミオ


つまり、クルマの大きさが小さくても人が乗る限り、ある程度の全高が必要で、長さや幅もフェラーリからみると、頭が大きく、足が短く、寸胴で「骨格では決してかっこ良くない」のです。量産車はまず、このような制約の中で造られているのです。

■制約の事例 その2

次の制約は「設計要件」です。設計要件とは、自動車メーカーごとに社内で決まっている各部の寸法です。先ほどのボンネット高そうですが、クルマには視界要件など様々な設計要件があり、その結果パッケージングする際にそれらのハードポイント、つまり動かすことのできない固定位置が設定されます。

道路運送者両法で決められた視界要件

道路運送者両法で決められた視界要件

ウインドガラスの大きさやタイヤの大きさの制約、さらにプレス成形で形状効果を出す面の作り、ありとあらゆる「設計、製造などの要件」でハードポイントが決まり、デザイナーはそこを侵すことはできないのです。もちろん、やり取りはありますが。

■制約の事例 その3

「制約」の3番目は「コスト」です。プレス加工しにくいボディ面をデザインしてしまうと、プレス工程を増やしたり板厚を上げたり、全てコストに跳ね返ります。キラキラする最新の技術で作ったヘッドライトをデザインするとカッコ良くなりますが、コストがかかります。

視界

視界

ガラス面積がコストに直結

ガラス面積がコストに直結


また、「より流線型にかっこ良く」と思って、フロントウインドを寝かせれば、ガラス面積は当然大きくなりコストアップです。またその設置位置は、フロントウインドの上側は視界の見上げ角や乗員との距離で定まるので、下側を前に出す必要があります。

そうするとウインドウの下側を支えるボディがオーバーハングして強度が必要となり、ガラスは前に行った分、衝突テストでは割れやすくなります。さらにダッシュボード上面は大きくなるので、その分、製造するための金型は大きくなり、さらにガラスが大きい分、ワイパーブレードも大きくなる。だからモーターも大きくなります。そしてガラスが寝てくると歪もわかりやすくなるなど、連鎖的に大幅コストアップに繋がっていくのです。

つまり、よりカッコ良くしようとベースのクルマから変更すると、だいたいコストアップになってしまいます。

■制約の事例 その4

「制約」の4番目は、生産量=販売量を考えないといけないということです。クルマは大量生産で生み出される商品ですから、多くの販売も必要になります。つまり、好きな人だけに売るというのでなく、多くのいろいろな価値観のユーザーに販売しなければなりません。したがって、いわゆる「万人受け」という要素が必要になります。このような制約の中でデザイナーはカッコ良くしていく努力をしているのです。

■制約の中でのカッコ良いデザインとは?

やっと本題です。では、このような制約の中で、何でマツダだけがカッコ良いのか?解答は二つあります。まず一つは、ここまで語ってきた「制約」の一部分または多くの部分を、緩くしていると思われます。

たとえば、販売台数の制約。万人向けのデザインというより、価値観の限られた人にだけ良さが伝われば良いとなると、その分思い切ったことができ、それがカッコ良いデザインにつなげられます。

二つめは、マツダのデザインに対する「情熱とこだわり」です。「クルマに命を与える」、「ドライバーとクルマの関係をエモーショナルに」、「生命感をカタチにするのが、マツダの魂動デザイン」などとマツダはアナウンスしています。つまり、温かみをもった、生きたクルマを高い造形力「匠の技」でつくるというこだわりです。

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デザイナーやモデラーのことを「魂を込めるアーティスト(匠の技)」とも言っています。見方を変えると、マツダはデザイナーやモデラーの創造性を尊重しています。

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結果、そのデザインは新しい独自のフォルムやテイストをもったデザインとなりカッコ良いのです。一番全長の短いデミオで見ると分かりやすく、さらにフィットとの比較で見られるように図を添付しました。また、国内販売台数だけを見てみると、遥かにフィットが多く、商品としての「狙いの違い」がよくわかります。

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今、多くの量産車メーカーでは、経営上「効率」が大変重要となっています。デザイン領域も例外ではなく、決められた時間内での完成が望まれます。マツダのように我々は何をしたいのか? 何をすべきなのか?どうすれば良いか?などに時間をかけてモノづくりの原点まで帰って再考しているメーカーは少ないようです。

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