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ポルシェ 919ハイブリッドのステアリングホイールに驚きの機能 WEC2016

2016年5月16日

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世界耐久選手権レース(WEC)で、マシンのステアリングを操舵することは、今ではステアリングホイールの機能の中でごく一部の役割でしかない。複雑なレーシングカーを制御するためにドライバーは前面の24個のボタン/スイッチ、裏面の6個のパドルを操作する必要があるのだ。

ポルシェ919ハイブリッドのワークスドライバーは、ブレーキングに左足を使用するドライバーもいれば、アクセルとブレーキを右足で踏み替えることを好むドライバーもいる。しかし、足さばきより両手のステアリング上のスイッチを動かしコンピューターを操作する作業はもっと複雑で重要なのだ。

Porsche 919 Hybrid, Porsche Team: Romain Dumas, Neel Jani, Marc Lieb

ポルシェ919ハイブリッド

2016年シーズンはマシン操作の信頼性をさらに向上させるために、ステアリングホイールのボタン/スイッチの配置見直しが図られた。なにしろル・マンにおける最高速度は340km/hに達するので、操作、認識のしやすさが最重要課題だからだ。

いくつかのコントロール機能は、ステアリングホイールにスペースがないためダッシュボードに移され、またステアリングホイールが丸形ではなく長方形なのは、ドライバーチェンジの際にスペースを生み出すためだ。

Porsche 919 Hybrid, Porsche Team: Romain Dumas, Neel Jani, Marc Lieb

ステアリング中央には大型ディスプレイがあり、速度、ギヤポジション、エンジンマネージメント、リチウムイオンバッテリー残量(前輪を駆動するためにどのくらいの電気エネルギーを使用できるか)など多数の情報が表示される。フロントアクスル上の電気モーターは、後輪を駆動する直噴ターボの2.0L・4気筒エンジンの駆動力にプラスするアシスト駆動を行なう。

左上のコントロールボタン(DISP)は、表示される情報を選択するために使用する。最も頻繁に使用されるボタンは、親指が届く上部外側に沿って配置され、右上のブルーボタンは常時使用される。これは高速走行時のマシンが他のクラスのマシンを追い抜く際にヘッドライトを点滅させるパッシングライトボタンだ。1回押すとヘッドライトが3回点滅する。日中にはヘッドライトの合図に気付くことがさらに難しくなるので、ドライバーは親指を常にここに置くことになる。

左上のレッドボタンも頻繁に使用される。これは、バッテリーから電力を供給してモーター・ブースト駆動を行なうために使用される。ブーストを使うことで追い抜きが可能になるが、1周あたりに使用できるエネルギー量が規定されているため、ドライバーはパワー配分に注意を払う必要がある。基準はル・マンの場合1周あたり8MJ(メガジュール)で、この数値は他のサーキットではその距離によって変わる。ドライバーが周回の途中で早めにエネルギーを消費すると、サーキットの後半部で使えなくなるというわけだ。

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ディスプレイ左右下部のロータリースイッチ(TC/CON、TC R)は、トラクションコントロールのプリセット用。エンジンとハイブリッドの各設定を調節するためには上部2段のライトイエロー(TF-とTF+)とブルー(MI-とMI+)のボタンを使用する。その下には前後のブレーキバランスを分配するピンクの+と-ボタン(BR)がある。

左側のグリーンボタン(RAD)は無線通話用、右側のグリーンボタンは、ピットからの指示に対して内容が確認できた場合に押すOKボタンだ。WECシリーズは双方向のテレメトリー通信は禁止されているので、エンジニアは受信データを基にしたドライバーへの情報の提供と指示以外は介入はできないのだ。

次の段の左側にあるオレンジボタン(DRINK)はドリンクボトルを作動させ、右側ボタン(SAIL)は、エンジンで加速せずに燃料を節約するセーリング(空走)モードの作動スイッチだ。左側のゴールドボタン(PIT)を押すと、ピットレーンのスピードリミッター(60km/h)が作動する。右側のボタン(FCY)は、全てのマシンが80km/hまでスローダウンしなければならない「フルコース・イエロー(全コース追い越し禁止)」用のスピードリミッターだ。

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中央のロータリースイッチ(MULTI)は、ステアリングホイール上部外側の2つのコントローラーに対応するスイッチだ。例えばレースエンジニアが「Alpha 21」という制御プログラムの設定を求めた場合、ドライバーはロータリースイッチで「A」を選択してから、左側レッドコントローラーで「2」を選択し、右側ダークグリーンコントローラーで「1」を選択してOKボタンを押す。このような組み合わせによって、エンジンマネージメントやフューエルマネージメントのプログラムを指定するのだ。グリーンのロータリースイッチ(RECUP)はエネルギー回生マネージメント用で回生力を調整する。

最下段の中央の黒ボタンはエンジンのオン/オフ・スイッチ(Start/Kill)だ。ステアリングホイール中央の残りの2つのコントローラーは、ブースト時のエネルギー量の決定(B: 左側ゴールド)と、エンジンプログラムの選択(S:右側ブルー)を行なうスイッチだ。

各スイッチ類は暗闇でも容易に識別をできるように、ドライバーのヘルメット上に設置されたブラックライトに反応する蛍光カラーが使用されている。

ステアリングホイールはカーボン製で、グリップハンドル部は滑り止めラバーで覆われている。パワーステアリングのため、このような形状のステアリングでもドライバーは容易に操作することができる。

また開口部分を通してステアリング裏側の6個のパドルを指で操作する。中央のパドルはシフトチェンジ用で、右を引くとシフトアップ、左を引くとシフトダウン。最下部のパドルはクラッチ操作用だ。最上部はモーターブースト操作用で、ドライバーはこのパドルか、ステアリング上のブーストボタンの好きな方を使用する。

Porsche 919 Hybrid, Porsche Team: Timo Bernhard, Brendon Hartley, Mark Webber

ステアリングホイールのサイズはこれ以上大きくすることができないので、必要なスイッチのすべてを設けるスペースはない。そのため、いくつかの操作はダッシュボードに手を伸ばす必要がある。夜間のディスプレイライトの明るさの調節、フロント・ワイパーの速度調節、無線の音量調節、トランスミッションをニュートラルにする「N」ボタンもダッシュボードに設置されている。

このステアリングホイールを見れば分かるように、WECのLMP1マシンのドライバーはレース走行中、激しい戦いを繰り広げながらどれほど忙しくスイッチを操作しているかが実感できる。

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