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ボルボ XC90 PHEV試乗レポート フラッグシップにふさわしい力強い走りと質感

2016年4月29日

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ボルボ XC90 T8 ツインエンジンAWD(PHEV)

ボルボ XC90 T8 ツインエンジンAWD(PHEV)

2016年1月末に日本で発表されたオールニュー「XC90」だが、T5エンジン、T6エンジン搭載モデルよりやや遅れてプラグインハイブリッド(PHEV)モデル「XC90 T8 Twin Engine AWD インスクリプション」が導入され、試乗する機会ができた。<レポート:松本晴比古/Haruhiko Matsumoto>

新世代プラットフォームを採用したXC90は、当初からPHEVモデルが構想されており、新プラットフォーム(SPA)はモーター、バッテリー搭載を前提とした設計になっている。もっともボルボは、2011年のジュネーブモーターショーでV60 PHEVを発表し、2012年後半から日本には未導入だがヨーロッパではこのモデルを発売しており、XC90 PHEVが初めてというわけではなく十分な経験を持っている。

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V60 PHEVはディーゼル・エンジンを搭載したPHEVであったが、XC90はDrive-Eエンジンの最強力バージョンであるT6エンジンとモーターを組合わせたPHEVとしているところが新しい。なお、XC90 PHEVの正式な車名は「XC90 T8 ツインエンジンAWD」で、グレードは最上級のインスクリプションのみという設定だ。

エンジン、トランスミッション間に発電&ブースト用モーター

エンジン、トランスミッション間に発電&ブースト用モーター

センタートンネル部にバッテリーを配置し、横方からの衝突でも万全の対策

センタートンネル部にバッテリーを配置し、横方からの衝突でも万全の対策


車名のT8とは、V8型エンジンに匹敵するパワーを発生することを意味し、ツインエンジンとは、スーパーチャージャー+ターボチャージャーを装備する320psのT6エンジンとリヤアクスルに搭載する駆動モーターを表現している。このT6ガソリン・エンジンとモーターを組合わせたシステム最高出力は407ps/640Nmだから、確かにV8型エンジンを上回る実力を持っている。

また、他メーカーのPHEVモデルは、標準モデルよりダウンサイジングし、出力も少し低めのエンジンと駆動モーターを組合わせている例がほとんどで、XC90 PHEVは最も強力なT6エンジンと駆動モーターを組み合わせているところがポイントだ。ただしDrive-Eエンジン自体がダウンサイジング・コンセプトではあるのだが。

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オプションのエアサスペンション仕様のため、車高は最も下がった状態になっている

XC90 T8 ツインエンジンAWDは、エクステリアで取り立ててPHEVを強調しているわけではないが、タイヤはシリーズ中で最も大径の275/40R21という迫力あるサイズだ。そして21インチホイールのスポーク越しに見えるブレーキもフロント:366mmφ、リヤ:340mmφと大径になっているのが分かる。

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インテリアは最上級のインスクリプションならではのラグジュアリーでセンスのよい上質な仕上げで、プレミアム感が満喫できる。また、シフトセレクターノブは、PHEVモデルはスウェーデンの高級ガラスメーカー「オレフォス」製のクリスタルガラスで、高級な工芸品に包まれた雰囲気は否応なく実感できる。なおシフト操作はこのPHEVモデルだけはバイワイヤー式なので、フェザータッチで操作できる。

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オレフォス製クリスタルガラスのシフトセレクター

職人が日数をかけて手作りしたオレフォス製クリスタルガラスのシフトセレクター

コンサートホールの特等席の音場を再現するバウワーズ&ウイルキンスのプレミアム・オーディオ

コンサートホールの特等席の音場を再現するバウワーズ&ウイルキンスのプレミアム・オーディオ


試乗モデルはオプションのエアサスペンション仕様だ。PHEVの走行モードはインスツルメントパネル中央の大型ディスプレイの画面上で、またはセンターコンソール上の回転式ダイヤルで簡単に選択できる。

モードは、「ピュアモード:EV走行」、「ハイブリッドモード:デフォルトのモードで自動的にEV、ハイブリッド走行を使い分ける」、「セーブモード:電池容量を残すモードで、電池残量33%以下の場合は自動的に充電し、33%以上の場合はハイブリッドモード走行で電池残量33%を維持」、「AWDモード:滑りやすい路面などで強制的にリヤモーターも駆動して4WDに」という4モードが選択できる。それ以外にXC90シリーズ共通のパワーモード、オフロードモード、インディビジュアルモードも選択できる。

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EVモードでの航続距離は日本のJC08モードでは35.4kmだが、ヨーロッパ(NEDC)モードでは43kmとなり、PHEVとして十分なバッテリー容量(9.2kWh)であることがわかる。なおPHEVにしたことで、燃料タンク容量は71Lから50Lに20Lほど減らされている。

リチウムイオン・バッテリーはセンタートンネル部に格納されており、エンジン車と比べてわずかにトンネルの高さがアップしているが、これは注意しないと分からないレベルだ。バッテリーがこの位置にあることで、多くのPHEV車がトランク下面に置いているのに比べ重量バランス(フロント:52%、リヤ:48%)がよいことと、万一の衝突時に高電圧のバッテリーが最も安全に保護されるという利点がある。さらにこの配置によりスペースを犠牲にすることなく3列シートのレイアウトが成立しており、このクルマはPHEV唯一の7人乗りを実現しているのだ。

■インプレッション
ガソリン車と同様にセンターコンソール部にあるダイヤモンドカットのダイヤル式スターターを回すと、システムONの状態になり、アクセルを踏み込んで走り出すと、もちろんEV走行で、無音状態で走り始める。アクセルをさらに踏み込むとエンジンが始動するが、かすかなエンジン音のためよほど注意しないとドライバーにも同乗者にもわからないだろう。

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さらに急加速すると、ドライバーの心をくすぐる気持ちよいエンジン音が高まってくる。このあたりの演出も十分熟成されていることを感じさせる。全力で加速する、強烈な加速が実感できる。もちろんリヤモーターも駆動し、さらにトランスミッション部にある発電/スターター用のジェネレーターも急加速時にはエンジンをブーストするモーターとして作動し、+30ps強が加わるのだ。

アクセルを踏み込んでの加速感は文句なしで、V8型エンジンに匹敵する迫力は本物だ。実際、0-100km/h加速は5.6秒で、T6エンジン車より1秒以上速いのだ。また普通の緩やかな加速時には8速ATが早め、早めにシフトアップし極力エンジンを回さずにする制御もクルマの性格にマッチしている。

巡航時でエンジンブレーキをかけたいようなシーンでは、セレクターを手前に引いて「B」ポジションにする。それもレバーを引くつど減速力が強まり、ギヤ位置の表示も8→7→6と変わるのでまさにシフトダウンしているフィーリングだ。もちろんこれは回生ブレーキを制御している結果を擬似的にギヤ段数で表示しているわけで、エンジンブレーキをかけているわけではない。

320ps/400Nmを発生するT6エンジンに160Nm+240Nmのモーター・トルクが合算される

320ps/400Nmを発生するT6エンジンに前:160Nm、後240Nmのモーター・トルクが合算される

フットブレーキは、軽く足を乗せるような減速ではペダルフィーリングが思いのほか固く、最初は少し違和感があるが、しばらく乗っていると慣れるレベルだ。ブレーキペダルは回生と油圧の協調制御しているのは他のハイブリッド車と同じだ。

なにしろ21インチタイヤなので、乗り心地はどうか気になる。 ところが驚くほどよいのだ。前回、T6エンジン搭載のXC90 インスクリプション(同じエアサスペンション仕様)に試乗したが、それと比べてより重厚感のある乗り心地で、低中速域でエアサスペンションらしいボヨンとしたフィーリングも消えている。

275/40R21サイズの大径・扁平タイヤ

275/40R21サイズの大径・扁平タイヤ

2340kgの車重に対応しブレーキ径を拡大

2340kgの車重に対応しブレーキ径を拡大


このPHEVモデルは、サスペンションからボディの細部に至るまで専用チューニングされているのだが、それ以上に+240kgという車重が乗り心地に効いていると感じた。どっしりして重厚感と路面の凹凸をソフトにいなすしなやかさが絶妙だ。また2列目シートでもフラットな乗り心地で、静粛性も高く、快適そのものだった。

なおスポーティグレードのT6 R-DESIGN(エアサスペンション仕様)はもう少し締まったフィーリングになるが乗り心地はフラット感が強く、これも乗り心地としては高いレベルにある。

XC90は直進安定性の高さも優れているが、小舵角で切ったり戻したりするステアリング・フィールに関してはT6エンジン・モデルでは操舵反力が強くて少し不自然なフィーリングが感じられた。しかし、レーンキーピング・エイドをオフにすると、その気になるフィーリングが解消した。

レーンキーピング・エイドをオンの状態では、けっこうレーン中央に戻す自動操舵力が強く、これが敏感に介入していたのだ。ちなみにレーンキーピング・エイドは前回のT6エンジン車と同様に、右側車線にはかなり余裕のある段階で操舵が介入し、逆に左側車線側は車線ぎりぎりまで介入が働かない状態だった。この原因はセンターライン中央部を認識する制御のキャリブレーションがずれていると思われるが、再調整すれば解決する問題だろう。

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2340kgの車両重量、全長5m、全幅1960mmの巨体は、確かに都市部の狭い道路ではもてあまし気味かもしれないが、長距離を苦にせず走る高速ツアラーとしての性能の高さと、荷物を多様に積載できる使い勝手、5人以上での移動といったユーティリティの高さは高いレベルにある。

また片道15km圏内の移動であればEVだけで走行でき、自宅で充電できればガソリンは不要というPHEVならではの環境性能、経済性も、この1000万円を超える価格のクルマのもうひとつの顔ということができる。

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