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【舘さんコラム】2020年への旅・第28回「次世代車をめぐる旅その7 番外編 東京モーターショーに見る資本主義の終焉」

2016年1月20日

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前回のつづき

◆EVの資本主義化
ただ、欧州勢の戦略に誤りがなかったというと、そうではない。ディーゼルの排ガス問題だ。

欧州の環境委員会は、排ガスによる健康被害よりも、CO2による地球温暖化の悪化を重視した。そして選んだのが、排ガスは多いが燃費が良く、したがってCO2の少ないディーゼルであった。だが、その結果、パリ、ロンドン、ミラノといった主要都市が大気汚染に見舞われ、ディーゼル車の優遇策が政治問題化するに至っている。

欧州の大半の自動車メーカーは、90年代に排ガス問題を解決し、2000年以降はCO2を削減し、やがて代替燃料に移行して脱石油化を図る戦略であった。しかし、現在の主要都市の大気汚染は、排ガス問題が解決していないことを示している。彼らは、原点に戻って自動車問題を一から解決しなければならない。

トヨタの燃料電池車FCV PLUS

トヨタの燃料電池車FCV PLUS

一方、からくも排ガスによる大気汚染問題を回避できたかに見える日本車も、ガソリン直噴エンジンのPM2.5問題に直面している。吸気管に噴射するポート噴射式に比べると直噴はPM2.5が10倍も多いという研究結果が出されたのである。もちろん、これは欧州勢の課題でもある。

こうした大気汚染問題に対してプラグイン・ハイブリッド車が無関係であるわけではない。電池の性能とコストが折り合えば、早急に純電気自動車に移行しなければならない。

そうした近未来を先取りしたのが、日産と三菱であった。ネガティブキャンペーンによって作られた「電気自動車は航続距離が短く、充電に時間がかかるから使えない」という都市伝説を覆そうと、電気自動車の資本主義的進歩拡大を発表した。

日産は、コンセプトカーのリチウムイオン電池の電力量を60kWhとした。現行リーフが24kWh、マイナーチェンジするリーフで30kWhである。世界一の航続距離を誇るテスラ・モデルSに匹敵する電力量なのだ。この60kWhの電池はおそらく17年にフルモデル・チェンジされるリーフに搭載されることになるだろうが、その場合、車体の改良等もあって航続距離は600kmに及ぶと考えられる。

日産自動車マイナーチェンジを受けて280kmに航続距離を伸ばした新型リーフ。EVは軽薄短小で脱資本主義型自動車である。つまり自動車産業革命の起爆剤なのだ

日産自動車マイナーチェンジを受けて280kmに航続距離を伸ばした新型リーフ。EVは軽薄短小で脱資本主義型自動車である。つまり自動車産業革命の起爆剤なのだ

市販されたことで燃料電池車のMIRAIの実燃費が明らかになっている。650kmというカタログ値に対して実燃費は400kmほどである。燃料電池車関係者は、「電気自動車は航続距離が短いのだから街中だけ走っていればよい。長距離は燃料電池車の守備範囲だ」と豪語していたが、どうやら逆転する日も間近である。

いや、60kWhに電力量を増量したこの電池は、現行のリーフにピッタリ収まる。その気になれば現行リーフですぐにでも600kmの旅が可能なのだ。

三菱は、航続距離が400kmのSUVのコンセプトカーを発表した。純電気自動車である。相川社長は電池のエネルギー密度が2倍なったので可能になったという。つまり、この先進電池は同じ重さで現行電池の2倍の電力量を蓄えられるということだ。早くもアウトランダーPHEVの後継者登場である。

三菱自動車純EVのコンセプトカー。航続距離400kmと例のネガティブキャンペーンである「EVは航続距離が短いから…」という都市伝説を覆す戦略に出た

三菱自動車純EVのコンセプトカー。航続距離400kmと例のネガティブキャンペーンである「EVは航続距離が短いから…」という都市伝説を覆す戦略に出た

プラグイン・ハイブリッド車は、モーターとエンジンのパワーを合わせた圧倒的な「速さ」という資本主義的価値観で、電気自動車は「より遠くへ」という資本主義的価値観でマーケットを獲得しようとしている。

一方、電気自動車のユーザーは、もともと環境意識が高く、環境に配慮したライフスタイルを見につけた人たちが多い。あるいは電気自動車のユーザーになると、こうしたライフスタイルに目覚める人たちが多い。彼ら、彼女らは、資本主義的価値観からは距離を置いているので、「速い」ことにも、「遠くまで走れる」ことにもたいして興味を持たない。

現行の電気自動車の性能に合ったライフスタイルを選ぶ。現状の生活をそのままに「電気自動車はあれが足りない、ここが不便だ」というのではなく、電気自動車の現状に自分たちのライフスタイルを合わせるのである。つまり彼ら、彼女らは、脱資本主義的価値観を身に付けつつあるということだ。次に具体的にはトヨタとホンダを見てみよう。

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