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【舘さんコラム】2020年への旅・第27回「次世代車をめぐる旅 その6 番外編 東京モーターショーに見る資本主義の終焉」

2015年12月16日

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マツダ・ロードスター ディーゼルはさすがに載せなかった

ここ10年ほど、各自動車メーカーは東京モーターショーで明確な進路を示せないでいた。新しい提案がなく、会場は湿りがちであり、来場者も減った。ところが今回は、明確な進路を示していた。3つの進路があったと思う。

1つは、時代の要請にしつかり応えよういうコンセプトであり出展だ。これは後述するようにさらに2つに分かれる。3つめは、原点に回帰しようというものだ。Old fashioned love carといってもよい。新しい進路ではないが、自動車は資本主義と共にあることを明確に示したプレゼンテーションがあった。トヨタの豊田章男社長の示した「WOWS(ワオ)」(驚き、感動)である。これぞ自動車の原点であることを忘れたところに、現代の苦悩があるといってもよい。

過去の栄光を振り返る

さて、進むべき道がわからなくなったとき、人は過去を振り返る。日本の自動車産業の過去は、栄光に包まれている。経済は拡大に次ぐ拡大を遂げ、自動車産業は日の出の勢いで成長し、給料がうなぎのぼりで上がって、人々は先を争って自動車を買った。良い時代であった。

その輝かしい成功体験で自動車を考え、提案してみようというのが、東京モーターショーにおけるマツダとホンダだった。いずれもエンジンを前面に打ち出してのプレゼンテーションであった。マツダは、販売台数はともかくブランドイメージを高めたロードスターを中心に、各種のエンジン車を展示した。だが、圧巻はプレスデーのロータリー復活宣言である。「ブオーン、ブオーン」とロータリー・サウンドを響かせてのプレゼンテーションであった。私を含めて昭和の自動車ファンには熱いものがこみ上げた。

ロータリー車は、サーキットでスカイラインGTRと血のたぎる熱戦を繰り広げ、ル・マン24時間レースで国産レーシングカーとして初めて優勝した。まさに栄光の国産車の1台である。だが、時代はロータリーエンジンに環境保全に対応するよう求めた。燃費が悪く、CO2も多いロータリーは時代の要請に応えられず、販売の幕を下ろした。しかし、現代のエンジン技術をもってすれば、排ガスもCO2も少なくできるという。これはル・マンで勝つよりも厳しい挑戦かもしれない。

エンジンにこだわったのはマツダだけではない。ホンダである。ニュルブルクリンクでFF車最速をマークしたシビックRを頂点に、ずらっとエンジン車を並べて見せた。そして、会場で人気を博したのは、軽自動車のスポーツカー、S660だ。これもターボチャージャーを付けたエンジン車だ。

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ホンダS660 ホンダ・サウンドが爆裂する

ホンダは現在、日本勢でただ一人、(エンジンで)F1を戦っているが、1964年から数次にわたるF1への挑戦こそホンダをホンダたらしめる栄光の日々であり、それを支えたのは、彼らの作り上げたホンダ・サウンド=エンジンだった。ホンダとはエンジンの代名詞なのだ。
市場にフロンティア見出すのが困難なこの時代に、過去の栄光に活路を見出そういうのは、確かにひとつの手である。過去に資本主義が行き詰ったとき、何度も繰り返された手法だ。そうして資本主義は延命してきたのである。

しかし、過去という過ぎ去った時間にマーケットはあるのだろうか。資本主義は時間を先取りすることで拡大、成長してきた。そもそも投資とは、その企業の将来の成長を見込んだものであり、未来の収奪である。収奪量が多いと見込まれれば、さらに資本が投下され、金利が上がる。

ときに過去をマーケットにする場合もあるだろうが、それは未来の収奪が困難になったこと以外の何物も示してはいない。マツダとホンダの提案には、資本主義が終焉に向かう中で未来に対する展望が期待できない中での苦悩を見ることができる。

確かにロータリーもスカイアクティブという現代の技術を使えば、排ガスもCO2もクリアーできるかもしれない。だが、自動車とは隣人に欲望して買うものなのだから、果たして新型ロータリーに隣人が欲望するかどうか。見極めが大切だ。
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