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フォルクスワーゲン 「EA189違法プログラム問題」第2回 台上試験を検知しているのではない

2015年10月13日

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問題となった2.0L TDI「EA189型エンジン」

問題となった2.0L TDI「EA189型エンジン」

既報のように、事件は2015年9月18日のアメリカ環境保護局(EPA)がフォルクスワーゲンの違反を発表したことから始まった。つまり違反該当モデルがエンジン制御用のECUのソフトウエアに「defeat device(ディフィート デバイス)排出ガス処理システムの無効化)プログラム」を使用していることを指摘したことだった。

■1年間の交渉
しかし、事の発端はもっとさかのぼる。NPO組織のICCT(The International Council on Clean Transportation:クリーン交通国際会議)が、アメリカにおけるディーゼル乗用車の実走行で、排ガスの計測をウエストバージニア大学に依頼。その計測結果のレポートは2014年5月に完成している。

この公道でのテスト結果から、特定のディーゼル・エンジン車は、負荷が大きくなるとNOxの排出量が大幅に増大することが判明した。改めていうまでもないが、アメリカを含め、各国の公式な燃費や排ガスの計測は公認されたシャシーダイナモ上で行なわれることになっている。実走行では、交通環境や天候の影響が大きいため再現性がないからである。

シャシーダイナミ上での排ガス・燃費のモード計測

シャシーダイナミ上での排ガス・燃費のモード計測

そのため、公認機関のシャシーダイナモの上で、テストを受けるクルマは決められた走行パターンに従って運転され、燃費、排ガスが計測される。決められた走行パターンとは、日本ではJC08モード、ヨーロッパのNEDCモード、アメリカでは市街地モード、高速モードなど、各国の規則により走行モードが決められているわけだ。

そのため、シャシーダイナモ上での計測結果と、公道での実走行での燃費、排ガスレベルに差が生じることは珍しくない。燃費では、カタログに記載されているモード燃費と、実際に使用したときの燃費のズレは一般的にも周知の事実だ。

ウエストバージニア大学が実施した実走行での排ガス試験装置。ホリバ製の車載計測器を搭載

ウエストバージニア大学は実施した実走行での排ガス試験装置。ホリバ製の車載計測器を搭載

しかし、ウエストバージニア大学のグレゴリー・トンプソン博士のチームが行なった実走行の排ガス・テストでは、特定のクルマの排ガス、特にNOxだけが負荷が大きくなると急激に増えることが問題になった。テストデータでは、一定の負荷領域を超えるとNOxが増大していることが分かったのだ。

グレゴリー・トンプソン博士の実験結果レポート

G.トンプソン博士の実験結果レポート

実験データ

実験データ

 

 

 

 

 

 

 

 

アメリカ・メディアの報道によれば、この事実を知ったEPAはフォルクスワーゲンに改善を求め、両者のやりとりは1年間にもわたって継続したが、最終的にフォルクスワーゲン側が「defeat device(排出ガス処理システムの無効化)プログラム」を使用していることを認めたとされる。

■「defeat device(排出ガス処理システムの無効化)プログラム」とは何か
「defeat device(排出ガス処理システムの無効化)プログラム」について少し考察しておきたい。EPAは1972年から、つまり有名なマスキー法(大気浄化法)が制定された直後から自動車メーカーに対し、車両の排ガス制御機能を損なう可能性がある「機能」、すなわち「defeat device(排出ガス処理システムの無効化)プログラム」の使用禁止を通達している。このためEPAは、フォルクスワーゲンに対してクルマの改修と制裁金を課すことができるわけである。

違法なプログラムの発覚により、一般的なマスコミは「defeat device(排出ガス処理システムの無効化)プログラム」とはシャシーダイナモでのテストを検知する特殊なプログラムと捕らえているようだが、それは少し現実離れしていると思われる。

ディーゼル用のNOx触媒システム。ディーゼル・エンジン特有のリーンバーン運転時に下層のNOx吸着層に排出ガス中のNOxを吸着。必要な時期にシステムが空燃比をリッチバーンに制御し、NOx吸着層のNOxを排気ガス中から得られる水素(H2)と反応させてアンモニア(NH3)に転化。上層のNH3吸着層にNH3を一時的に吸着。 (3) 再度リーンバーン運転になった際に、上層に吸着されたNH3が排気ガス中のNOxと反応し、無害なN2に浄化。

ディーゼル用のNOx触媒システム。ディーゼル・エンジン特有のリーンバーン運転時に排出ガス中のNOxを吸着。吸着されたNOxが蓄積されると、必要な時期にシステムが空燃比を濃くするように制御し、N吸着されているNOxを排気ガス中から得られる水素(H2)と反応させてアンモニア(NH3)に転化。再びリーンバーン運転になった際に、吸着されたNH3が排気ガス中のNOxと反応し、無害なN2に浄化。したがってNOxセンサーを通して燃料噴射システムはフィードバック制御されている。NOx触媒にはバナジウム、ロジウムなどが使用される

一般的にエンジン制御は、エンジン始動により排ガス制御システムも起動し、フィードバック制御が作動し、決められた排ガスのレベルに制御される。「defeat device(排出ガス処理システムの無効化)プログラム」により、加速や登坂でエンジンの負荷が増大すると、排ガス処理システム(NOx触媒)のフィードバック制御を停止する。つまりエンジンの一定以上の負荷で制御をオフにするという、単純なものと考えた方が妥当だ。

この負荷によるプログラムの切り替え説と、もうひとつは「defeat device(排出ガス処理システムの無効化)プログラム」とフェールセーフ・プログラムに切り替えているのではないかとう仮説も存在する。ディーゼル・エンジンに限らず、どのエンジンのECUも、エンジン制御システム(ECU)には、センサーや触媒が故障した時にエンジンがいきなりストップしないように、フェールセーフモードと呼ばれるプログラムも内蔵されている。

このモードでは、通常はエンジンチェックランプは点灯するが、フィードバック制御なしでエンジンを運転することができる。このフェールセーフ機能を切り替えて使用しているのではという推測もある。

もちろんいずれにしても「defeat device(排出ガス処理システムの無効化)プログラム」の実態、リスクを犯してまで採用した目的はフォルクスワーゲン社の社内の担当者に対する調査結果、つまりECUのプログラムの車両適合実験を担当した人間の説明を待つ以外に、真実は明らかにはならないことはいうまでもない。<次ページへ>

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