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ブリヂストン いざという時の安全性に直結するウエット性能考察 

2015年6月29日

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タイヤが水面に浮きあがるハイドロプレーキングのテスト

タイヤが水面に浮きあがるハイドロプレーキングのテスト。推進10㎜に70㎞/hで進入

ブリヂストンが主催し、メディア向けに梅雨時の季節に合わせたタイヤのウエット性能に関するデモンストレーションが、栃木県・那須塩原市にあるブリヂストン黒磯プルービンググラウンドで行なわれた。梅雨時、つまり雨天でのウエット性能やタイヤの常識など、なんとなく分かっていることをを改めて実体験し、よりリアルに認識してほしいということが今回のテーマである。

■路面によるタイヤのグリップ力の違い
タイヤの基本的な知識として、一般的な舗装路において、雨天時のウエット路面と晴天時のドライ路面ではタイヤのグリップ力=摩擦係数に差があるかということだ。厳密には舗装された道路でも、舗装の材質、工法などにより、乾燥状態でもウエット状態でも差が生じるが、一般的には乾燥した舗装路で摩擦係数は0.7~0.9で、ウエット路面になると0.35~0.5。つまりドライ路面に比べてグリップ力は約半減するのだ。

ブリヂストン 黒磯プルービンググラウンド

ブリヂストン 黒磯プルービンググラウンド

タイヤと路面の摩擦係数の関係

タイヤと路面の摩擦係数と制動距離


雪道になれば、ウエット路面に比べさらにグリップ力は半減し、そして最も滑りやすくグリップ力が低くなるアイスバーン状態では雪道の半分以下になる。イメージ的にはアイスバーンではドライ路面の10%程度のグリップ力しか得られないのだ。

ウエット路面でも、雨の状態によりグリップ力は一定ではない。雨の降り始めはゴミ、汚れが浮き上がって滑りやすく、また雨が強くなり路面上に水が溜まり始めると、タイヤが水面に浮き上がりグリップ力がゼロになるハイドロプレーニング現象も発生する。

■タイヤのウエット性能の向上
次は、タイヤから見たウエット性能を高めるための技術的な流れを知っておきたい。ひとつは、雨天での高速走行で最も危険なハイドロプレーン現象を低減させるために、タイヤのトレッドパターンの改良がある。

ウエット路面での排水性能を高めるための基本は、接地するトレッド面と水を排出する溝部の比率(ランド・シー比と呼ぶ)を、溝部をより拡大すれば雨天での排水性能は向上する。しかし、普通のタイヤは雨天専用ではなくドライ路面を走る場合の方が多いため、溝部の面積を拡大しすぎると、タイヤノイズの拡大、ハンドリングやブレーキ性能への影響、耐摩耗性能などが悪化するため好ましいことではないのだ。

ブリヂストン 黒磯 ウエット性能 ハイドロブリヂストン 黒磯 ウエット性能 溝深さ・ハイドロ

そのため一般的なラジアルタイヤは、接地面と溝部の面積の比率、ランド・シー比は7:3くらいになっている。競技用の市販ラジアル、Sタイヤなどは8:2、9:1といった舗装のドライ路面に特化したタイヤもあるが、当然ながらこうしたタイヤは少し濡れた路面くらいまではゴムのグリップ力を生かせるが、大雨は苦手なことはいうまでもない。

ブリヂストン 黒磯 ウエット性能 排水パターン

ヨーロッパのタイヤは、雨天での高速走行を想定してトレッドのセンターに太い主溝を持つパターンが主流だ。しかし、1980年代に入ると排水性を追求した方向性パターンが採用されるようになってきた。いわゆるV字パターンだ。

ブリヂストンは1984年にポテンザRE71で、初めて方向性パターンを採用している。V字パターンにすることで、排水性能を高め、ハイドロプレーニングの発生を遅らせることができるのだ。このV字パターンの原理を採用したタイヤはその後も形を変えながら採用されたが、その一方で2000年代に入るとパターンの3次元形状により排水性能を高める技術も登場し、今後さらに進化すると予想されている。

■ウエット性能を高めるコンパウンド
タイヤのグリップ力は、タイヤの構造とタイヤのゴムの特性により大きく変化する。タイヤの接地面に使用されるゴムは「コンパウンド(配合)」と呼ばれるように、各種のゴム材料、薬剤の配合により、求めるグリップ力や耐摩耗性を引き出している。いわば料理の食材に調味料を加えて味付けするというイメージだ。

ウエット路面でのグリップ力を高めるためには、ゴムの性質を柔軟にして、摩擦力を高めればよいが、一方で転がり抵抗を減らし、より燃費性能を向上させることも求められている。つまりグリップ力と転がり抵抗の小ささは相反するのだ。

ブリヂストン 黒磯 ウエット性能 エネルギーロス低減ブリヂストン 黒磯 ウエット性能 シリカ効果

近年は、タイヤラベリング制度が採用されていることもあり、ウエット時のグリップ力、特にブレーキ時のグリップ力の向上と転がり抵抗の低減を両立させる技術が大きく進化している。グリップ力を向上させるためにはコンパウンドの高分子化合物の材質を革新し、さらに転がり抵抗を減らすためにはタイヤを支える基部のフィラー部の構造やゴムの物性を改良するのがトレンドになっているのだ。

まずはコンパウンドのゴムと各種添加剤の化合状態を改良し、分子の動きを小さくし、変形による発熱、ヒステリシス・ロスを抑えながら路面との摩擦力を高めることが必要となる。

グリップ力を高める一方で、分子が動くことで発生するエネルギー(ヒステリシス)ロスを抑えることができる配合剤として、シリカ(二酸化ケイ素)が注目され、多用されるようになってきた。

シリカは、エネルギーロスを抑え、さらに親水性を備えているため、ウエット性能向上、転がり抵抗の低減の両方に効果がある優れた材料だが、親水性の物質がなじみにくいゴム材料に、微粒子のシリカをうまく分散配合させるのが難しいとされている。

ブリヂストン 黒磯 ウエット性能 シリカ分散対策効果ブリヂストン 黒磯 ウエット性能 製品

ブリヂストンは花王の界面活性剤を使用し、シリカをゴム全板に分散させるシリカ分散技術「NANO PRO-TECH」を開発し、採用している。シリカの表面をゴムとなじむような特性を与えることで、ゴム全体に微粒子のシリカを分散でき、従来より多くのシリカを使用できるようになったわけだ。

この新技術を採用できたことで、エコタイヤのラベリング制度でウエットグリップ性能「a」が実現し、従来のエコタイヤの「b」、「c」グレードとは大きく差をつけることになった。なお、この新技術はレグノGR-X1、トヨタMIRAI用のエコピアEP133にも投入されている。

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