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【舘さんコラム】2020年への旅・第18回「充電の旅シリーズ18 スーパー・セブンに聞け 第16話」鼻つまみの街パリ・その2

2015年3月18日

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コンコルド広場のゴール。後ろの塔はエジプトのルクソール神殿から持ってきたオベリスク

ノルウェーからパリへ。エッジ舘野は、パリ・サロンを取材するというMr.舘内を追った。Mr.舘内の宿泊先であるプルマン・パリ・モンパルナス・ホテルの近くを散歩した二人が、夕方の混雑で賑わうカタルローニュ広場のロータリーにさしかかると、生温かで鼻にまとわりつくような嫌な臭いを感じた。

Le Figaro
Mr.舘内の「臭い!」という言葉に、エッジ舘野は、40数年前の神田の街の臭いを思い出した。エッジ舘野が神田の大学に通っていた頃は、街はスモッグ覆われ、視界は50mもなく、嫌な臭いに満ちていた。カタルローニュ広場で感じた臭いは、それと似ていた。「花のパリが鼻つまみのパリだよ」Mr.舘内は、そう言って顔をしかめた。大好きなパリが臭い町に変貌していたのだ。

その翌日、Mr.舘内は日刊紙の「Le Figaro」の1面トップを、マニュエル・ヴァルス首相のコメントが飾っているのを発見して、驚愕した。同様のコメントは、英国の大衆紙「The Sun」にも掲載されていた。こちらは、労働党のバリー・ガーディナー国会議員の怒りのコメントであった。二人の怒りは、いずれもディーゼル車に向かっていた。

「ヴァルス首相は、税収が減ったと怒ってますね」。いつの間にかホテルのロビーに現れたエッジ舘野が、Le Figaro紙を覗くMr.舘内に話しかけた。Mr.舘内は、新聞から目を離し、見上げると、「ああ。軽油の税金を安くしたら一気にディーゼル車が増えて、ガソリン車が減った。税金の安い軽油ばかり売れるから税収が減ったと怒っている」と言った。

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チャレンジ・ビバンダムのゼロヨン競技のスタート。ベンツは燃料電池バスでチャレンジした。スタート前に積んでいたメンバー全員の旅行バッグを車外に投げ捨てて軽量化を図っていたのが面白かった。こうしてベンツのように遊ばないと、リコールにまみれて、F1もうまく走らずベンツに勝てないのですよ

「でもヨーロッパでは、環境にいいからディーゼル車が増えたんじゃないんですか」。
「それはディーゼル車の販促ツールに過ぎない。それをディーゼルのことをよく知らない人たちが言いふらしたんじゃないの? ディーゼルは燃料代が安いから増えたのよ。エコロジーじゃなくて、エコノミーだよ」「ええっ! そうなんだ」エッジ舘野は驚いた。クリーンディーゼルというので、環境に良い自動車だとばかり思っていたのだが…。

「ガソリン車よりも燃費がいいから、CO2排出量は少ないよ。でも、軽油の炭素含有量はガソリンよりも13%も多い。だからガソリン車よりも13%燃費が良くて、ようやくガソリン車と同じCO2排出量になる。たとえば20㎞/Lのディーゼル車は17.7㎞/Lのガソリン車と同じCO2排出量さ。ディーゼル車は燃費がいいから環境にいいというのは、浅薄な論議だよ」。Mr.舘内がそう言うと、エッジ舘野はその博識に頭を下げた。「それじゃあなぜフランスは軽油の税金を安くしたんでしょうか」

「一説によると、2000年代の初めのころにトラクータを使う農民と漁船を使う漁民とトラックを使う運送業者に対する当時の政党の人気取りだったらしい。彼らはみな燃料に軽油を使う。軽油税を安くすれば燃料代が節約できる。時の政党は選挙に勝てる」。

「そうして軽油税を安くしたら一般市民も燃料代の安いディーゼルに乗り替えた?」とエッジ舘野が訊くと、「そういうことらしい。その結果、燃料の税金の安いディーゼル車が増えて、税収が減った。それでマニュエル・ヴァルス首相は、当時の政策を批判して『ディーゼル燃料に対する優遇税制は誤りだった』と言ったわけだ」とMr.舘内が答えた。

どうやらヨーロッパのディーゼル・ブームの火付け役は、フランスの当時の政府だったようだ。しかもディーゼル・エンジン誕生の地のドイツでは、大部品メーカーのボッシュがコモンレールという高圧燃料噴射装置の開発に成功して、ディーゼル・エンジンの性能を高めた。「燃料は安い、性能はいい」と、役者が揃ったわけだ。

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ベンツの燃料電池バス。1998年時点でベンツはすでに燃料電池バスを走らせていた

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ベンツの燃料電池バスに同行する水素運搬トラック。このトラックと一緒でないと燃料電池バスはガス欠してしまうのだ。荷台の赤色のボンベに水素が積めてあり、バスの燃料が切れるとこのボンベから補給するのだが、3分ではとても終わらない。燃料電池車の実情がここにある

ところが、そうしたディーゼル車優遇策のあげくに大気汚染だ。そこで軽油税をリッターあたり2セント(2円60銭)上げる案もある。さらにパリ市内では自動車のスピードを時速30km/h以内にするという案もある。フランスではおよそ80%のドライバーがディーゼル車を使うが、軽油税の値上げと制限速度の導入などは、かなりのダメージといわれる。しかし、自分が出した排ガスで自分が苦しむわけだから文句も言えない。

これは、しかし、誰の責任なのだろうか。自動車メーカーは規制値を守った。ドライバーは自由・平等・博愛の精神を守って自由にディーゼル車を選んだのだ。となると、ディーゼル車の増大で大気汚染が深刻になることを予見できなかった政府に責任があることになる。「これを自業自得というのだ」とMr.舘内は、ぶつけどころのない怒りをエッジ舘野にぶつけた。

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